
派手な観光地ではないけれど、
一度は実際に見てみたい日本のスポットをご紹介します。
一生心に残る旅をしましょう。
今回ご紹介するのは、
舘の岬(北海道・乙部町)です。

函館から車で約2時間弱の日本海側にある乙部町の海岸線を走る
国道229号線(追分ソーランライン)沿いに、
陸地が長年波風に浸食されて出来た「舘の岬」と呼ばれる
白亜の海蝕崖(かいしょくがい)が続く断崖があります。

はるか昔、この一帯は海の底にあり、
凝灰質砂岩互層、火山礫灰岩、粗粒砂岩層、軽石凝灰岩層などの
いくつもの地層が堆積していました。
その後、地殻変動で海底から隆起して海面上にその姿を現しました。
そして長い年月をかけて繰り返し波がぶつかり、
浸食されたことにより現在の姿になりました。

この断崖は、整然と規則正しく水平に地層面を露出しており、
鮮新世の館層と呼ばれ、「東洋のグランドキャニオン」とも
いわれています。

削られた断崖は太陽の陰影によって刻々と様々な表情を見せます。
小学校の理科の教科書にも教材として掲載されたこともあります。

また、この岬には、ニシン漁最盛期にあった天保年間、
ヤン衆といわれた漁師と、その網元の娘との
この世ではかなわぬ恋を嘆き、冥土で結ばれることを願って
館の岬から身を投げて心中をしたという悲恋物語が語り継がれており、
その恋を忍ぶ「悲恋塚」という石碑があります。

ちょっと車を停めてこの悲恋の碑の前から見る館の岬は
他の海岸線の風景とは一味違う日本海の風が身にしみる
悲しくも美しい雄大な絶景ポイントです。

乙部町ホームページ
http://www.town.otobe.lg.jp/section/sangyou/e0taal0000000bkk.html
◆乙部町の観光スポット
鮪の岬(しびのさき)

1972年(昭和47年)に、北海道天然記念物に指定され、
北海道自然百選にも選定されています。
岬の形がマグロの背に似ていることや、
独特の岩肌がマグロのウロコのように見えることから、
鮪の岬と呼ばれています。
この独特の岩肌は中新世に海中から噴出した柱状節理で、
壁の上部は蜂の巣状で、下部は長さ8メートルから12メートルの柱状が、
ほぼ垂直に海へ達しています。
岬の上には鮪の岬公園があり、桜の名所として人気のスポットです。
アクセス:乙部町役場からせたな方面へ車で約15分
くぐり岩

海に突き出た断崖の先にぽっかりとあいた穴。
今からおよそ400年前の慶長年間に
ニシン漁を支えるために掘削したため、こんな形の岩になりました。
当時はこの一帯は陸地であったと考えられ、
陸路としてこの穴をあけたそうです。
アクセス:乙部町役場から江差方面へ車で約5分の後、徒歩3分、または瀬茂内バス停留所より徒歩5分
滝瀬海岸のシラフラ

白い断崖が続き、美しい奇妙な海岸線を形作っているのが滝瀬海岸です。
このあたりは江戸時代に、シラフラ(白い傾斜地)と呼ばれていました。
明治の初めに、シラフラにぽつんと埋まっている岩が発見されました。
漁師たちは、この石を神秘的なものとしてお供えものをしていたことから、
今もこの岩は石神様として滝之神社境内に安置されています。
シラフラは、くぐり岩への経路から南側に徒歩で約600mほど進むと
望むことができます。
アクセス:乙部町役場から江差方面へ車で5分の後、徒歩10分
縁桂(えんかつら)の木

縁桂は、隣り合う2本の桂の木が結合してできた巨大樹で、
古くから縁結びの神が宿る『縁結びの木』として
地元で大切にされています。
秋分の日には、『縁桂森林フェスティバル』が開催され、
多くの人が訪れます。
アクセス:乙部町役場から鳥山を経由し、道道旭岱鳥山線を通り、車で約30分、徒歩20分
乙部岳

標高1,017メートルの乙部岳は、
道南でも指折りの1,000メートル超峰です。
山頂には、360度の視界に雄大なパノラマが広がっており、
日本海側は奥尻島を、太平洋側は内浦湾(噴火湾)を一望できます。
山頂付近の尾根沿いの登山道では、
山麓から吹き上げる心地よい風が疲れを癒してくれます。
竹森

乙部岳の麓にある竹森は、海からその位置が確認でき、
古くから漁師たちの羅針盤として、出船・入船操業など
海の安全を守ってきていることから、
国の航行目標保安林に指定されています。
また、野鳥や草花などの観察にも最適であり、
多数の動植物が生息しています。
ここにある神社では古くからこの山を活用してきた
漁師の信仰を集めており、毎年5月には有志によるお祭りも開かれています。
アクセス:乙部町役場から道道乙部厚沢部線に入り、車で約25分
★舘の岬へのアクセス
所在地 〒043-0104 北海道爾志郡乙部町字館浦
お問い合わせ先 乙部町役場産業課 商工労働観光係 TEL 0139-62-2311 FAX 0139-62-2939
駐車場 なし(岬のトンネル南側出口脇に退避スペース有り)
・函館から車で約1時間45分
・木古内駅より(道道5号経由) 車で62.4km 約1時間46分 (国道229号沿い、乙部市街地を過ぎて最初のトンネル手前左側)
・江差追分会館のバス停留所「中歌町」より函館バス「熊石または大成学校前」行きバスで約27分、「館浦」停留所で降りて徒歩5分

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